
と考えられるため、本章ではチャリティという語をそのまま用いることにしたい。このチャリティに関しては、包括的な法律上の定義は存在しないといわれている6)。そもそもこのチャリティの制度は、エリザベス女王時代の1601年から始まっており、高齢者・障害者・貧民の救済、学校の維持、道路・橋梁・教会の修繕、元犯罪者の更正の4つの目的を有する団体がチャリティと規定された、その後、1891年に現在でも用いられている4つの目的が示された一すなわち、貧民の救済、教育の推進、宗教の促進、コミュニティのための活動である。 チャリティとして認定されるこれらの目的については、厳格に運用されているというよりむしろある程度の柔軟性をもって解釈されており、現在では人種的な調和の促進や女性に対する機会の平等の促進などが、これらの目的に加えられている。 1960年のチャリティ法(the Charities Act)から「チャリティ委員会」(Charity Commission)への登録という方法が導入された。この登録制の導入により、チャリティとは、その組織の目的がチャリタブルであるとチャリティ委員会によって承認された団体を指すことになった。1995年3月末現在の登録数は18万1000団体に及んでいる7)。登録することにより、財源調達(寄付金)を容易にし、内国歳入庁と自治体による各種の税金に対する控除を認められ易くなるという。 (2) チャリティの法的構造 チャリティの組織は、その法的形態が多様である8)。すなわち、チャリティはその組織形態によって決まるのではなく、組織目的や実際の活動と運営によって、承認されるかどうかが決まるのである、そこで考慮されるべき要因は、スタッフ数、財産の有無、契約の数と規模、メンバーの参加の方法、最終的な責任者、である。 組織構造に関する一般的な法的形態としては、任意団体(あるいは法人格のない社団・権利能力なき社団)(unincorporated association)、トラスト(公益信託charitabletmst)、チャリタブル・カンパニー(あるいは保証有限会社 company limited by guarantee)である。共済組合(friendly society)、企業・産業の共済組合(industrialand provident society)などもある。ただし、共済組合や博物館、住宅供給協会(hous−ing association)、大学などはチャリティであるが、チャリティ委員会への登録は免除されている。これらは免除チャリティ(exempted charity)と呼ばれ、また教会や有志立学校(voluntary school)などは除外チャリティと呼ばれ、同様に登録が免除されている。
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